米国でビジネスを行うために一時的或いは長期的に米国に滞在するためには、それぞれの目的にあったビザを取得しなければなりません。ビザは、通常、米国外にあるアメリカ大使館或いは領事館にて申請することができます。また、既にある種のビザで米国内に滞在している人は、米国内にある移民局に申請することにより、ビザの延長および別のビザへの書換えを行うことも可能です。以下、各ビザの概略をご案内致します。
ビジネス訪問者(BusinessVisitor)ビザ --- B-1 Visa
派遣社員(IntracompanyTransferee)ビザ --- L-1 Visa
条約貿易業者(TreatyTrader)ビザ --- E-1 Visa
条約投資家(TreatyInvestor)ビザ --- E-2 Visa
専門職従事者(SpecialtyOccupation)ビザ --- H-1B Visa
米国永住権(LegalPermanent Residency)
グリーンカードDVプログラム
カナダの移民法概要
大学卒業予定者のためのH-1Bビザ特集
(グリーンカード体験記)
ビジネス訪問者(Business Visitor)ビザ--- B-1 Visa
出張や会議出席等を目的として、短期間、米国を訪問する場合に利用されるビザです。現在、日本人が米国を90日以内の短期間訪問する場合は、特別にビザの申請をする必要はありません。これは、VisaWaiver Pilot Program (VWPP)という米議会で承認されたプログラムに基づいて、特定の国の国民にのみ与えられた権利です。従って、B-1ビザ取得が必要となるのは、90日以上の滞在を予定している場合のみです。ここで注意しなければならないのは、何れの場合も(VWPPでもB-1ビザでも)、出張者が米国滞在中に、米国内で給与或いはコミッション等の収入を得ることは出来ません。もちろん、日本からの出張者が、米国出張中に日本の雇用主から日本国内で給与や手当を受けることは出来ます。従って、VWPP或いはB-1ビザは、顧客を開発する、契約の交渉を行う、市場調査を行う、トレードショーやコンベンションに参加するといった目的に利用されます。B-1ビザは、当初、最高6ヵ月まで与えられ、事情によっては、米国滞在中にさらに6ヵ月更新することが出来ます。
派遣社員(Intracompany Transferee)ビザ--- L-1 Visa
このビザは、日本の会社が、経営管理者や専門知識を有する社員を、米国の子会社或いは傍系会社に派遣する際に利用できるビザです。但し、ビザを取得する派遣社員が、過去3年間のうち最低1年間は、派遣する日本企業あるいはその傍系企業の従業員として、経営管理者或いは専門知識者として雇用されていなければなりません。ビザの申請は、通常、米国内にある派遣社員受入先の会社が、米国移民局に対して行います。申請が米国移民局に許可されると、派遣社員は最寄りの米国大使館・領事館にてビザ発給の手続きを行います。ビザの有効期間は、経営管理者の場合、最高7年、専門知識者の場合、最高5年です。
条約貿易業者(Treaty Trader)ビザ--- E-1 Visa
米国との貿易に従事する会社が、経営者或いは従業員を一時的に米国に滞在させるために利用するビザです。このビザを取得するには、米国に滞在する個人が日本国籍を持っている者であるか、或いは受入先の米国の事業体の50%以上が日本国籍を持つものによって所有されていなければなりません。また、スポンサーとなる事業体が、日本と米国との間で既に相当量の貿易取引を行っていなければなりません。貿易取引には、必ずしも商品取引に限らず、サービスの取引も含まれます。従って、銀行業務、保険、通信、コンサルティング、技術知識等の無形商品も取引にも当てはまります。E-1ビザは、通常、米国大使館・領事館にて申請されます。ビザの有効期限は通常5年間ですが、ビザ取得の条件を満たしている限りは、半永久的に毎年更新することが可能です。滞在期間(ビザ有効期限とは別)は、1回の入国につき1年です。
条約投資家(Treaty Investor)ビザ--- E-2 Visa
日本人投資家が、米国に多額の資本を投資し事業を始める場合、本人或いは従業員を米国に派遣する際、E-2ビザを利用することが出来ます。このビザを取得するためには、米国内での投資が、投資家個人の生活を支えるためだけのものであってはなりません。米国政府は、投資によって、米国市民或いはグリーンカードを持っている人のための就職市場が拡大されることを条件に、投資家ビザを発給するのです。従って、投資が、ビザを得るためだけの手段であると見なされた場合、或いは、投資家とその家族を養うだけの規模の事業であるとみなされた場合は、ビザを取得することは出来ません。ビザの有効期限はE-1ビザと同様で、通常5年間ですが、ビザの必要条件を満たしている限りは、半永久的に毎年更新することが可能です。滞在期間は、1回の入国につき1年です。
専門職従事者(Specialty Occupation)ビザ--- H-1B Visa
このビザは、米国の会社が「専門職」に従事する外国人を一時的に雇用するために利用するビザです。「専門職」とは、その職業に従事するためには、一般的に、ある専門分野において最低限、学士号或いはそれ以上の学位を取得していることが必要で、高度な専門知識を理論的・実践的に応用する職業を意味します。例えば、医療専門家、エンジニア、コンピュータ関連職、会計士、弁護士、建築家、科学者、ビジネス・スペシャリスト等が含まれます。H-1Bビザは、米国の雇用主がスポンサーとなって米国移民局に申請しますが、ビザ申請の手続きを行う以前に、各州の労働局にLabor Condition Application (LCA)という労働条件申請書を提出し、労働局の許可を受けなければなりません。LCAは、H-1Bビザの発給によって、米国内の労働者の労働条件が悪化することを防ぐために義務づけられた手続きです。このビザの有効期限は、最高6年です。(詳しいH-1Bビザの情報を知りたい方は『大学卒業予定者のためのH-1Bビザ特集』をご覧ください。)
以上、ビジネス関連の非移民ビザの主な種類とその概略をご説明しましたが、次に、いわゆるグリーンカードと呼ばれる移民ビザに関して、簡単にご説明します。
米国永住権(Legal Permanent Residency)
--- グリーンカード
- スポンサーとなってくれる米国の会社があり、移民法に制定された必要条件を満たした場合は、雇用に基づく米国永住権の申請を行うことができます。但し、特別な場合を除いて、永住権の申請には、大変な手間と時間がかかります。また、年間に許可される永住権の数には制限があるため、移民法のもとでは以下の順位で優先カテゴリーが制定されています。1.科学、芸術、教育、スポーツの分野で非凡な能力を有する人、著名な大学教授・研究者、一部の他国籍企業経営管理者。2.修士号以上の学位またはそれと同等の資格を有し、専門職に従事する人、或いは科学、芸術、ビジネスの分野で高度な能力を持つ者。3.学士号を持ち専門職に従事する人、特殊技能を有する労働者。 4.その他、熟練技能を持たない労働者。また、上記以外に、米国が必要とする専門知識・技能を有しており、米国経済・社会に多大な貢献するであろう人物には、National Interest Waiver と呼ばれる特別なカテゴリーが適用出来る場合もあります。さらに、一定の条件を満たした事業投資家に対する枠も別途設けられています。
米国永住権(グリーンカード)とは . . .
いわゆる一般に“グリーンカード”と呼ばれる米国永住権とは、外国籍の人が期限無しに、米国内に居住し、就学或いは就労できる権利のことを言います。永住権は、通常、米国市民或いは既に永住権を保有する家族、または、米国内の雇用主にスポンサーとして申請してもらって取得します。
従って、家族に米国市民や永住権を持っている人がいない場合、さらに永住権を申請してくれる雇用主がいない場合、グリーンカードを取得するのは非常に困難です。
グリーンカードを持っていると:
日本国籍を保持したままアメリカに居住し、自由に就労あるいは就学することが出来ます。
留学をお考えの方は、仕事をしながら就学し、卒業後もそのままアメリカに滞在し、就職することが出来ます。
米国の企業が外国人を雇う場合、グリーンカード保持を前提条件とすることが多く、就職活動を行う際非常に有利です。
定年退職後アメリカで家を購入し、一年のうち数ヵ月米国に滞在したいとお考えの方に好都合です。
米国政府は年一回特定の国で生まれた人を対象に抽選でグリーンカードを発給するDVプログラムを施行しています。
DVプログラムって何?
現在、米国ではある一定の国からの移民が大幅に増加しており、移民のバランスに不均衡が生じています。そのため、米国政府は、移民のバランスを取るために、移民数が比較的少ない国からの移民を促進させるためのプログラムを施行してきました。"DV"とは、DiversityVisa の略で、移民多様化を図るプログラムの一環です。DVビザ・プログラムは、家族関係或いは雇用関係で永住権が取得できない外国人でも、少数移民国で生まれた人には抽選で永住権を与えようという目的で設けられたプログラムです。
詳しくは、米国政府の発表をご参照ください。以上、ビジネス関連ビザの概略をご説明致しましたが、今後、当ホームページでは、各ビザに関するより詳しい説明を逐次掲載してまいりますので、ご参考になさって下さい。尚、当ホームページは、米国移民法に関する法律相談に代わるものではありませんので、ご留意下さい。取得できるビザの種類や有効期間は、ケースバイケースで異なりますので、実際にビザの申請を行う際は、米国移民法弁護士に相談なさることをお勧め致します。
カナダの移民法概要
(カナダの移民法に関するお問い合わせが多いため、以下、概略を記しますが、この記事は弁護士相談に代わるものではありませんので、詳しくは、カナダ弁護士にお問い合わせ下さい。)
1996年カナダへは約225,000人が移民しました。その内訳は以下の通りです:投資家(3%)、企業家(5%)、自営業者(2%)、技能労働者(43%)、家族関係(30%)、難民(13%)、その他(4%)。
投資家移民とは、(1)最低50万〜70万カナダドルの資産を持っていて、(2)その資産を自分自身で築き上げ、さらに(3)ビジネスを成功させている人物です。このカテゴリーで移民するには、最低25万〜50万カナダドルを、政府が認めたファンドに最低5年以上投資しなければなりません。(この最低額が近い将来引き上げられる可能性もあります。)
企業家移民とは、最低約35万カナダドルの資産を持っていて、カナダ経済に大幅に貢献するようなビジネスを設立・買収したり、投資して、自分も積極的にビジネスの経営に参加する人物です。最低投資額は、はっきりと決まっていませんが、通常、10万カナダドル程度が要求されるようです。また、この様にして設立されたビジネスは、最低1人のフルタイム従業員をカナダ市民或いはカナダ移民のなかから雇わなければなりません。
自営業移民には最低資産額は要求されません。このカテゴリーの移民は、単に、移民本人が雇用の機会を得られるようなビジネスを設立・買収する能力があることを示せば良いのです。但し、そのビジネスは、カナダの経済、文化、芸術に対して大幅な貢献をするものでなければなりません。
技能労働移民としてカナダに移民するには、移民法に定められた最低70ポイントの「得点」を稼がなければなりません。この「得点」は、例えば、大学卒業以上は何点とか、年齢が何才であれば何点とか、英語或いはフランス語が達者であれば何点、職務経験が何年であれば何点、という風に個人の技能によって加算されていきます。これらの得点の合計が70点以上であれば移民の資格をとることができます。
家族関係によって移民できる人は、カナダ市民あるいは移民でスポンサーとなる人の、配偶者、扶養子女、両親、祖父母、さらに19歳以下で孤児の兄弟、甥姪、孫、或いは婚約者、19歳以下の養子女です。スポンサーとなるカナダ市民・移民は、10年間スポンサーとなった移民を経済的に扶養していく義務があります。