Charlotte Weekly 1996.10.20.号 通巻第12号
となりの芝生
今週は、米国の家庭の、庭仕事について、ご報告します。このテーマは、私に とって気の重いテーマではあるのですが。その理由は?というと、どうぞお読 み下さい。
私の住んでいるところは、街の南外れにある、新興住宅地です。最近やっと 住宅団地のすべての分譲住宅が完成したところです。この団地の一戸あたりの 土地の広さは、米国の標準住宅と比べると決して広くはありません。私のとこ ろで、敷地が400坪位です。家の部分を除くと、300坪くらいが庭になっ ている訳です。現在住んでいる家は、賃貸ですが、家主に取得価格を確認した ら、その土地と80坪の新築の家を含めて、2600万円でした。確かに家の 広さは、米国でも広い方でしょう。最初にこの話を聞いた時、私はショックを 受けました。それでもこれは、米国南部の価格としては高い方のようです。
さて、急いで芝生の話に移りましょう。それだけ広い庭は、どこの家でも 芝生で埋め尽くされています。花や木は、その中に空き地を作り、植えられて います。そして、芝は青々として実にきれいに刈られています。草花や木の 根元には枯れた松葉が敷き詰められ、暑い時には、毎日のように散水ノズル で水が撒かれます。手入れとしては、必要に応じて肥料や除草剤などが撒かれ、 きれいな芝生が維持されています。これはすべて、お隣りの芝生の話です。 私のところはといいますと、当然責任を負うべき私が、庭の手入れを する習慣など、全く持ち合わせていませんので、全くといっていいほどほった らかしです。そうすると、当然、雑草は生えるわ、芝は伸び放題になるわで、 家内は周りとの比較で、いろいろと言ってきます。それでも、何もやりません でした。すると、あまりにほったらかしたので、家主さんが見るに見かねて、 芝の手入れをやってくれることになりました。トラックで、自分の芝刈り機や、 土を掘り起こす機械などを持ち込み1ヶ月の間に、とてもきれいにしてくれ ました。その後はやはり気持ちの良いものです?最近では、お隣りさんからも、 芝刈り機が無いのなら、貸してあげるよと親切な声がかかるようになりました。 ただ、今年はもうこれから、芝が枯れてしまうので、やりたくても?機会が 無いのが残念なのですが。
では、どうしてお隣りさん達の芝生はそんなにきれいなのか、観察したことを
ご報告します。
まず、米国の東側や南部は「やたら芝生だらけ」です。たとえばフリーウェイ
を走っていても、中央分離帯は幅の広い芝生です。この間、近くのアパラチア
山脈沿いの観光道路を走りました。山沿いの道ですが、舗装の途切れた路肩は、
芝生でした。もっと身近には、学校の校庭は芝生です。家の子どもは二人とも、
サッカーチームに所属していますが、いつも、プレーをしているのは芝生の グランドです。何という贅沢!
ですから、芝生は当たり前の国なのです。 そうそう、私の住む街は人口40万人ほどですが、ゴルフ場が70近くありま
す。ここも、芝生の塊です。
ですから、そのようにふんだんに芝生が使われているので、お隣りさん達は 実に芝生の知識が豊富です。いつ、何をするか、新聞にも毎週のように、園芸 特集が組まれていて、その時期毎にすること、注意点など実に細かく書かれて います。そして、近くのホームセンターには、それに必要なものが、すべて 揃っています。大は、芝刈り機から、小は種や肥料まですべて揃います。値段 は細かくは分かりませんが、エンジン付きの芝刈り機で200ドルくらいで、 種や肥料は袋入りで、数ドル程度です。私も、家主から一通りの説明を聞いて、 やっとするべきことがわかりましたが、とても一人ではできないと思いました。
さらに、お隣りさん達は実にまめに手入れをします。これはその一例です。 まず、帰りがとても早いです。サマータイムですと夏は夜9時でもまだ明るい です。その時お隣りのご主人は、夕方5時過ぎには仕事から帰り、庭に出て きて、子供たちを周りで遊ばせながら、水遣りや庭の掃除をします。結構楽し そうにやっています。それで、1時間くらい使い、あとは子どもを遊ばせ、 近所の人と話しをしたりして、8時頃まで外にいます。奥さんも、所々手伝い、 そして、やはり近所の人とおしゃべりをしたりします。週末はといいますと、 朝から、張り切って芝刈りです。比較的狭い庭ですが、それでも1時間くらい はかかるでしょうか、男の人は上半身裸になって、汗だくでやります。そして、 その時には、家のまわりからのエンジン音で、私たちは寝坊はできません。 しかも、芝生の切れ目は、別のトリマーという機械で刈り取ります。これは 月1回位です。そういうまめな作業の結果、見栄えのする、きれいな「となり の芝生」が維持できることになります。
あとは、お隣りさん達は、花や木をとてもまめに手入れをしています。 どうやら、大きな木、鮮やかな花などが彼らの趣味に合うようです。ですから、 芝生以外で庭にあるのは、見栄えのする植物たちです。確かに家の周りは とてもきれいで、レンガ色の建物と緑の芝生はとてもきれいなコントラストに なります。
今日も、私は書斎の窓から外を見て、となりの芝生は本当に青いものだと、 改めて、異国の地に住むことを実感するのであります。
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