Charlotte Weekly 1996.09.08. 号 通巻 第6号

米国の市民の運転マナ−

今回は、米国の交通マナ−をご報告します。 ご存じのとおり、米国は車社会で、車がないと日常生活に、大いに支障をきたし ます。たとえば、日用品の購入は、近くのス−パ−ということになりますが、近 くとはいってもても大抵4−5Km以上離れています。それだけに、荷物を歩い て運ぶわけには行かず、自転車もややパワ−不足となり、どうしても車で買い物 することとなります。道路は、自動車のために、至るところ整備されており、車 線の幅もゆったりしています。 そんな中での、米国の運転マナ−を、まとめてみますと、意外と社会の仕組みに 適応している面が、あちこちに見受けられます。

−制限速度について−
これは、州によって異なりますが、一般的には市街地で55Km/H、郊外で 70Km/Hハイウェイでは100−120Km/Hが普通です。これは制限速 度ですから、実際はこれよりも15Km/H位早めに車は流れています。 最近、制限速度を引き上げたり、上限を廃止する州が出てきて、全体には、更に 早い流れになりつつあります。トラックも同じ速さなので、並んで走ると圧倒さ れます。

−ハイウェイの手入れについて−
ハイウェイの車線は、州や、郡が整備をしますが、道の両端は、会社や団体が、 奉仕で清掃します。その奉仕は、ADOPT HIGHWAYと呼ばれて、ある 区間を特定して奉仕団体の名前の付いた標識が立てられます。その団体は、最低 週に一度はその区間の清掃を受け持ちます。道端は普通芝生なので、ゴミ拾いが 主な仕事になります。道端のゴミは飛散したものの破片や、空き缶、煙草の吸殻 などです。道幅が広いせいか、それほど目立ちません。

−アメリカ人の運転−
譲り合いという観点からは、とてもマナ−のよい運転者が大部分です。特に、割 り込みには、とても寛容な所があります。男女とも同じように運転しますので、 様々な傾向が見られます。 あくまでも、私の独断による観察ですが、次のように、まとめてみました。 若い女性:結構スピ−ドを出し、割り込みなど、当然という態度でする人も目に つきます。決しておとなしい運転ではありません。 おばさん:マイペ−スで、あまり他人の存在を考えないところが見受けられます。 譲ってあげても、当然という顔をしているのもこの世代の特徴です。 若い男性:スピ−ドを出す。オ−プンカ−などで、大騒ぎして乗ることがありま す。 お年寄りの男性:おとなしい運転で、後ろに付くと、イライラする時があります。 特に、日曜日の午前中に、夫婦で「キャデラック」に乗って教会に行く人達に多 く見られます。        

−譲り合いについて−
交差点や、合流地点では、交互に譲り合って流れをスム−ズにしています。 また、駐車場などでも、お互いににこにこしながら、相手に道を譲る光景を良く 見かけます。とても、ゆったりした感じで、傍から見ていても、感じのよいもの です。そう言えば、先日車の渋滞に引っかかったとき、どうしたのかと思ったら、 何と雁の群れが、道路をゆっくり歩いて横断していました。それを待っていて渋 滞が発生していました。動物に対しても譲り合いがあるのを見て、とてもほのぼ のとしました。 しかし、普通の運転中で、市街地や郊外での車線変更は、われわれには、理解に 苦しむところがあります。米国では、車は右側通行ですから、ハイウェイの出口 は右手にあります。この近くで、しばしば見受けられるのは、自分の出口がすぐ 近くに来ているのに、何故か、空いている左側の車線に入り込んで、そして、左 側から、わざわざ右側へと、大きく横断して出口にたどり着く人が少なからずい ることです。確かに、今を大切にする国民性の極端な現われかもしれませんが、 少しばかり驚いています。

−車の手入れ−
こちらの人は、車をとても大切にしていることが分かります。98%くらいの車 は、きちんと手入れされてきれいです。7年前に見たときには、なんてオンボロ 車が多いのだろうと思いましたが、今ではその面影はありません。たしかに、す べてが綺麗になっています。そして、こちらの人は、使えるものは(意外にも?) とても大切にするので、6-7万キロ走った車でも良い値段で売り買いされます。

−シートベルトの着用について−
米国では、運転者だけでなく他の人も「積極的に」シートベルトを締めます。 着用率は、80%を越えているとおもいます。特に小さな子どもは、チャイルドシ ートを座席に固定して、乗せています。自分の身は自分で守る思想がしっかりと身 についています。

−合理的行動の背景−
米国では、トラブルを起こすと、すぐに訴訟になったり、保険金の支払いが停止 になったりすることが多いそうです。その観点から見ると、譲り合いが浸透して いることは、生活防衛からの面からの理解も成り立ちます。今回の例は、私の住 む、ノ−スカロライナ州の一例ですが全体的には、マナ−もインフラも成熟した 車社会であることは確かだと思います。 これだけ利用が多い車ですから、あらゆることが、試されて、かつ選択されてき ているとさえ思えます。これが、自動車王国の製造技術と、利用技術のバックグ ラウンドのひとつで、運転マナーと深くつながっていると思います


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