Charlotte Weekly 1997.01.26.号 通巻 第26号

見上げれば星条旗

今週は、米国の国旗である「星条旗」の取り扱いを、ご報告致します。
建国の精神と、国の発展経過からして、星条旗は米国民の中心となる象徴です。 独立戦争から、州を増やすごとに星を増やし現在では、51州となっています。 あくまでも、各州が合わさったという合衆国ですから、各州を統一し、一つの 国家としてて扱う上では、いろいろなことにぶつかります。すなわち、統一す ることにより、連邦という概念が発生してきます。これにより、合衆国(連邦) 政府を持つわけです。ですから、連邦政府とか、連邦警察(FBI)というよ うな、組織が、存在しているわけです。政治的にも、経済的にも独立した各州 の集合体が合衆国であり、その象徴が星条旗です。ここで独立した州というの が、結構、個性的でいろいろと面白いことが観察できますし、連邦との関係で、 ところどころ矛盾も出ています。

星条旗は、米国人にとって常に身近にはためいています。例えば、学校やオフ ィス、はたまたショッピングモールと呼ばれる、商店街にも、大きな旗が風に はためいているのを、良く目にします。これらに使われる旗は、とても大きく、 風ではためくと、とてもきれいです。インターネットのホワイトハウスのホー ムページのデザインがこのはためく星条旗ですから、米国民の中にいつも印象 を与えていると考えられます。ちなみにホワイトハウスのホームページのURL はwww.whitehouse.govです。

では、この星条旗が生活の場でどのように使われているかと、現在抱えるいく つかの歴史を引きずった社会をご報告いたします。 まず、生活の場での星条旗は、敬意の対象です。日本では、国民の祝日や、 プロスポーツの開催時に国旗が掲げられているように思いましたが、米国では、 プロスポーツももちろんですが、もっといろいろな機会に国旗の掲揚がありま す。私のところの二人の子どもは、どちらもサッカーをやっています。 練習よりは試合が多く、地域や学校対抗の試合が一週間に2回ほどあります。 それは、お互いの学校や地域のグランドであるわけです。試合の始まる時間帯 は大体3―4時頃です。試合前には、国旗が掲揚され、その時に、合衆国国歌 も歌われます。その時に来ている、お母さんや、お父さんも、起立して国歌を 聞きます。時には、歌う人もいるようですが。平日の時間帯なのに、お母さん だけではなく、お父さんもその時に応援にきている姿を目にします。家族の 一員の行動に家族が一緒に応援するのは、当たり前という態度で、我が子の 名前を叫びつつ、試合の応援をします。とてもにぎやかな応援です。

ある時、たまたま私も時間がとれて私の子どもの試合に応援にゆく機会があり ました。その時、相手チームを、ものすごく大きな声で応援している人がいま した。良く見ると、その人は、何と私の友達で3ヶ月前に職を失い、1ヶ月前 にたまたま本屋さんで会ったときには、まだ、次の仕事が見つからないんだ、 と静かに言っていた人でした。その日に後から話を聞いても、まだ職を探して いました。私は、この友達の先日の様子と、この日の応援の元気さとの落差に、 米国の「個人の力強さ」を垣間見た感じがしました。

さて、国旗とは別に、各州はそれぞれに州の旗を持っています。これは、そん なに掲揚されることは多くはありませんが、街中では商店や、州の機関に掲示 されています。その時、南部のある州の市庁舎がそうなのですが、国旗と、 州旗とそして、南北戦争の時の「南軍」の旗を掲げているところが今でもあり ます。南北戦争については、TV映画や歴史書は、今でも新しいものが出てき ています。学校でも米国史の重要な項目として教育されていますが、まだ過去 のしがらみは引きずったままの意識というのも、根強くあるようです。 歴史が尾を引いている、米国の意外な一面です。


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