Charlotte Weekly 1996.12.15.号 通巻 第20号
米国の「消費者」は強い
今週は米国の消費者についてご報告いたします。米国での商品は、メーカーか ら小売りに流れそして消費者にわたります。これ以外の通信販売なども現在は どんどん使われるようになってきていて、流通チャンネルの変化も着実に進ん でいます。今日は、従来型の小売業と消費者での視点でまとめてみました。
1. 米国の商品
ひとことで言って、安くてごついというのが実感です。日本のメーカーも こちらでは価格が安いものをたくさん出しています。たとえばVTRなど
2-300ドルのものが主流で、いろいろな余分な機能などついていません。 携帯電話もごつくて日本のように軽さを売り物にした機種はお目にかかり
ません。この間、パソコン雑誌を見ていたら、携帯パソコンの比較テスト 項目で、落下させたときの画面強度が取り上げられていました。確かに
パソコンを落としたり、電話を投げたりあまり丁寧には扱わないので、 そのようなテストが必要なのかもしれません。ですから、ごっついものが
主流を占めています。
メーカーは世界中から入ってきており、機能がちゃんとしている限り、 あとは、値段の勝負になります。そして、こちらの人は200ドルを越える 買い物はいろいろ比較をしてから、買うようです。
2. 米国の消費者情報
これは、一番権威あるとされるConsumer Report(月刊)や、各商品毎に いろいろな雑誌が出ています。今ではパソコン関係の雑誌は新製品の比較
評価のオンパレードです。そして、それなりのランキングをつけて消費者 に情報を提供しています。こちらのデータは必ず、どのような評価をした
か、そして、編集者はどれをベストと判断したかまで、書かれています。 私は米国に来る前は、米国での情報の量がもしかすると少ないのではない
かと思っていましたが、今では、あふれかえる情報に、私自身が埋もれて きています。ものだけでなく、情報もあふれかえっているというのが正直
な実感です。
3. 商品の保証
このような商品知識を持った人が、実際買い物をするわけですから、それ 以降の品質保証も、かなりきめ細かく行われます。一般に、商品の保証は、
製品保証が中心ですが、価格保証も行われることがあります。まず、製品 保証からご説明しますと、大まか次のようになります。(消耗品は保証さ
れませんが、機械類は次のような保証システムをとることが普通です) まず、買ってから30日以内であれば、いかなる理由でも返品OKです。
ですから、買った後うまく動かないとか、気に食わないということで返品 OKです。私も幾度かやってみたことがありますが、元の箱に入れて持って
ゆくと中身を確かめもせずに、返金してくれます。ただし、この商品は そのまま再び店頭に並びますので、逆に買う立場で考えると、買うとき
には中身をきっちり確認することが必要になります。 それ以降の商品の保証は、メーカー保証と呼ばれるものになり、消費者が
直接メーカーと話をしながら、対応を求めます。しかし、このシステムは 故障の祭には、現物を送り返したり、修理に時間がかかるので、あまり便
利ではありません。その時に、小売店の保証サービスが出てきます。これ は、商品を購入するときに、同時に小売店の保証サービスに加入します。
すると、メーカー保証よりも期間が長く、小売店のサービスが受けられま す。すると、消費者は故障した機械を小売店に持ち込むか、サービスを家
に呼ぶかして、修理をさせることができます。これは3年間保証で数十ド ル程度です。現在は小売店の一つのサービスとして定着しつつあります。
つぎは価格保証です。これは、価格競争の激しい米国ならではのシステム かと思いますが、日本でもパソコンショップがこのような制度を一部取り 入れて来ているようです。 この内容は、ある商品をAというお店で買ったとします。 同じ商品が、ほかのBというお店で5ドル安かったとします。Aのお店に、 Bというお店の方が5ドル安いという証拠を持ってゆけば、Aというお店 は5ドル(110%)返してくれるというものです。Aというお店には、ほかの お店の価格情報をお客さんが持ってきてくれるので、これには意味がある のかも知れません。私も一度だけ試してみましたが、特にいやな顔もせず に、返金してくれました。しかしこれはさかのぼると、メーカーや卸の 価格についても保証するシステムなわけですから、消費者が強い米国の マーケットは、次に小売りが強く、そしてメーカーの力は余り強くない ことがわかります。
消費者が主導権を持ちということは、マーケットの論理が価格と、流通を コントロールしていることだと思います。現在では、小売店のほかに カタログ販売やインターネットモールなども出てきています。その意味で、 強い消費者をいかに味方にするか、ものを売る人々は多くの試行錯誤を重ね つつ、新しい方法にチャレンジしています。
編集後記
Charlotte Weeklyもおかげさまで第20号を迎えることができました。 (途中16号が重複していたりして、まだまだ、素人の域を出ておりませんが)
お読みいただいている方も着実に増えてまいりまして、ますます張り切って 出すようにしたいと思います。インターネットを含めて、情報の伝達方法
は革命的に変わっているように思えます。それでも、自分の目で確認した ことの重要性はますます大きくなっていると思います。今後ともご意見等
お寄せいただければ幸甚でございます。
次号のあと、インターネットでのクリスマスカードをお送りしたいと思って おりますので、ご期待ください。ただしマシンによる差が生じたときには、 ご容赦ください。
ゥCopyright 1997, 1996 Hiroshi Yagi. All Rights Reserved Worldwide.
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