Charlotte Weekly 1996.12.29.号 通巻 第22号

クリスマスプレゼントのその後

今週は、米国市民最大の年間イベント、クリスマスのその後について、特に プレゼントがどのように取り扱われるかを、ご報告します。 先週もご報告しましたように、クリスマスには、たくさんの親戚や友人に プレゼントを送ります。その後、そのプレゼントはいろいろな道をたどること になるのですが、米国にはその国民性にあった対応が見られます。

まず、クリスマスには平均的な家庭(夫婦、子どもあり)で、数千ドルのプレ ゼント支出をするようです。この額は、米国人の平均給与が4万ドルという ことを考えると、決して小さな数字ではありません。むしろ、私の知人などの 話を聞いてみると、家族やふるさとの両親には随分と張り込んだプレゼントを しています。金額としては一人当たり千ドルを超えることも多いようです。 ですから、ほとんどすべてのお店で、クリスマスの売り上げが、年間売り上げ の30%以上を占めるといわれることが起こるわけです。 今年は、デパートと、おもちゃ関連の売れ行きが良く、それと反対にパソコン 関連は売れ行きが思ったより良くなかったようです。全体としてはまあまあの 売り上げのようでした。

さて、12/24にもらったプレゼントは、12/25にゆっくりと贈られた人によって 評価されます。もちろんもらったときには、「すばらしいプレゼントをありが とう」というお礼の言葉でもらっているはずです。しかし、ここでは必ずしも 贈られた人はそれに満足していない場合もあるようです。たとえば、遠くに住 む孫が喜ぶように、お人形を老夫婦が買ったとします。しかし、もらったお孫 さんは、自分のコレクションでなければ、あまり面白くないことも起こります。 そこまで、老夫婦とコミュニケートできていればいいのですが、必ずしもそう はならずに、品物が贈られることもあるわけです。 そこから先は、この国のシステムをフルに使った対応が起こります。すなわち 商品リターンという現象です。これは、12/26に典型的に見られるのですが、 もらった商品の返却、交換です。12/25は会社やほとんどのお店も休みとなり ますし、もちろん学校はクリスマス休暇に入っています。12/26になると、 各小売店の顧客サービスカウンターには返却や交換をする人で長蛇の列が できます。全米小売店協会の調べでは、クリスマスプレゼントの約9-12%に あたる割合が返却されるそうです。これは、かなり大きな返却率です。もし クリスマスの売り上げが年間の30%であったとすれば、その10%ですから クリスマスの返却率が年間の返却率を1%以上押し上げる計算になります。 通常返却率は1-2%というのが普通の商品の通例でしょうから、返却商品の 大部分は「クリスマスに発生する」ということがいえるかもしれません。

当然、返却にはレシートが必要ですから、相手の好みがはっきりしない場合に はプレゼントにはたいていレシートを付けて相手に渡すようです。このあたり、 日本のプレゼントと違って、すごくドライという感じがします。 ここでも、自分の納得しない選択はたとえ「好意で贈られても受けない」 という気質が大きく反映され、容認されているように思います。そして、 消費者が強いという市場の一つの帰結でもあると思います。

―編集後記―
Charlotte Weeklyもおかげさまで、8月のスタート当初は20部という発行 部数でしたが、現在では50部近くを数えるまでになりました。特に、インタ ーネット経由で送付している方々が現在では20人を超えるようになりまし た。やはり時代の大きな流れを感じています。そして、このバーチャルと呼ば れている世界が、実は現実の世界の情報と活動とをものすごい速さで、更新し 支えていることを実感します。もはや、このバーチャル世界を無視して人の 活動はないというところまで来てしまったようです。こんな時代に巡り合った 僥倖?をこれからも、楽しくお伝えしたいと思っておりますので、引き続きご 愛読をお願いいたします。 今年も、余すところ数日となりました。皆様どうぞ、よいお年ををお迎え下さ いませ。


ゥCopyright 1997, 1996 Hiroshi Yagi. All Rights Reserved Worldwide.


<<目次のあるぺージに戻る>>

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

31

32

33

34

35

36

37

38

39

40

41

42

43

44

45

46

47

48

49

50


ゥCopyright 1997, 1996 Interpacific Network Corporation. All Rights Reserved Worldwide On Any Copyrightable Materials.