Charlotte Weekly 1996.09.22.号 通巻 第8号
米国の電話事情
今回は、米国での電話についてご報告いたします。電話はここ何年かの規制緩和 の効果で、たくさんの会社が参入し、結構激しいサービス競争をやっています。 そのため、料金やサービス内容がどんどん変化していて実態がつかみにくいです。 私の生活の実感からの視点でご説明します。
公衆電話の料金は市内電話で最低が25セントです。これは日本に比べると、高い と思います。しかし、これで市内は通話時間制限なしですから、空港など待ち時 間の間に、長電話をしている人もよく見かけます。市外にかけると、公衆電話で は、オペレーターが出てきて、追加コインを請求されます。隣の街でも75セント 位、遠ければ3-4ドルをコインで入れて、つないでもらいます。そして長距離通話 は時間制ですので、料金が不足すると再度コインの投入を催促されます。日本と 比べても、遠距離通話はそんなに安くない感じがします。多くの場合、25セント 硬貨が通話のために必要です。
家庭での電話は、地元のローカルな電話会社と契約します。設備工事費が150ド ルくらいで、月々の基本料金は大体25ドル位です。ここで面白いのは、 市内通話料金が「ただ」なのです。基本料金さえ払えば、利用時間は無制限です。 これは、今話題のインターネットにつなぐときを考えてみると、とても大きなメ リットになります。すなわち、市内の接続ポイントにつないでいれば、インター ネットをつなぎっぱなしでも、通話料金はかからないということです。インター ネットの接続業者も同じように、基本料金さえ払えば、利用時間無制限とすると ころが多いですから、利用者は、使用時間による通信費を心配せずにつなげるわ けです。日本ではインターネットに1時間つなげば市内接続でも電話代だけで200 円かかります。それに対して、こちらでは使うほど時間当たりのコストは下がる 訳です。何か使うほど、得ををしているような気になります。この点は、インタ ーネットだけでなく、データを扱う業務にも当てはまるわけですから、商店での クレジットカードの利用や、図書館でのデータ検索システムなどが、安い料金で 維持できることになります。また、回線の種類もトーンとパルスの両方の使用が 可能です。
長距離電話は地元の電話会社とは別に、どこと契約するかで、料金やサービス内 容が大きく変わります。ここでは、毎月のように各電話会社が競って割引のサー ビスを出しています。しかしTVの宣伝を見ても、私にはどのくらいメリットがあ るのかは、すぐには理解できません。最近AT&Tの割引サービスに入って、日本 との国際通話料金が土日で50セント/分になりました。それまでは1.2ドル/分 くらいでしたから、同じ会社でも料金体系が複雑になっています。 まさしく、 知らないと損をする世界です。その内容も、競争会社の動きによってすぐに変更 しますので、消費者も情報を集めるのに神経をとがらせます。場合によると、契 約の電話会社を変えることでリベートが出たりして、うまくすると契約を切り替 えながら儲かる人がでることもあります。(このあたりは日本の新聞と似ている ところがあります)
携帯電話もこちらでは自動車電話が中心で使われています。(こちらは、田舎町 のせいもあり、あまり歩いていて使うケースは目にしません)電話機の値段は 100-200ドルくらいです。特定の電話会社との通話契約であれば電話機は 「ただ」というのも見かけます。さすがに携帯電話の通話料金は、市内であって も時間に応じた料金になっています。これは公衆電話での料金より、やや高めに なっています。それでも、基本料金のなかに毎月一定の通話時間までは「ただ」 という契約も多く見受けられます。
ここで、面白いことに気がつきました。ポケベル(こちらではぺージャーと呼び ます)は日本では若い人の利用が多いようですが、米国では少し違って、ビジネ スパーソンで、利用する人を多く見かけます。これは、どうも電話に対する態度 の違いに起因するようです。すなわち、日本人は電話がかかると、話を中断して でも、すばやく受話器を取り上げる人が多いのに対し、米国人は、一般的に自分 の手が空かないと受話器を取らない人が多いのと、対応しているように思われま す。ですから成り行きとして、自分からかけることの多い人は携帯電話を持ち、 自分にかかってくることが多い人はぺージャーを持つのではないかと思いはじめ ています。突然電話かかってきても、まずは自分の事から済ませて、すぐには電 話に出ないという習慣が反映されているような気がします。自分の時間は自分で 支配したいという表れではないかと推定している訳です。
技術的な面では、携帯電話の通信法式は、今のところはまだ、アナログが中心で、 ぼちぼちデジタルが出てきはじめたところです。
現状のインフラで、どこの片田舎でも通信端末は届いています。これが、各州が 独立して活動をしてきた地方分権のひとつの帰結になっています。しかも、それ だけの広がりを持ちながら、通信コストが安いという点で、大きな強みをもつ通 信インフラになっていると思います。
最近、日本でも話題になっているISDNも徐々に広まりつつありますが、まだ設備 工事費は高く($500位)、しかも市内でも通話料金を取られるとのことで、一般 への普及は日本ほど急速ではありません。むしろ、その先のもっと高速な通信方 法(ケーブル・あるいは衛星での通信)を模索しているのが、現状です。 今の通信網の手軽さと、高速通信のメリットを消費者がどうやって選択してゆくのかが、今後の通信基盤の変化のスピードに大きな影響を与えると思います。
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